個人投資家の間で当たり前に使われるようになった「ドルコスト平均法」に対して、知名度の低いバリュー平均法ですが、メリットがたくさんあります。
多くのトレンドで利回りが有利になったり、手元資金に余裕ができる点などです。
そんなバリュー平均法をアレンジした「ノーセルバリュー平均法」ですが、取引手数料を下げられるなどのメリットがあります。
詳しいやり方を記事で解説していきます。
この記事の内容を読むとこんなことが分かります。
- バリュー平均法とノーセルバリュー平均法について基本的な仕組みを解説します
- ドルコスト平均法との違いを解説します
- 日経平均のバックテストをつかって成績を評価します
- ノーセルバリュー平均法のメリット・デメリットをまとめます
著者について
- つみたてNISA、iDeCoでS&P500の投資信託をコツコツ投資中です
- 株式投資経験は15年以上、個別株・投資信託・ETFの取引履歴が多数あります
- 節約、副業で貯めた資金をコツコツ投資、40歳で資産は4000万円オーバーしました
・この記事を書いている私のプロフィールはこちらです。
- 節約と投資と副業が趣味の40代サラリーマン
- 仕事は原価計算などお金に関する仕事一筋
- 趣味が興じて簿記2級を独学で取得
- 4人家族で生活費は月27万円。資産は4千万
- 35歳でうつ病を経験し、会社に依存しない生き方に挑戦中
ノーセルバリュー平均法のメリットとやり方は
バリュー平均法とは
ノーセルバリュー平均法とは、バリュー平均法という投資方法をアレンジした投資方法です。
ノーセルバリュー平均法を理解するためには、まずバリュー平均法について、理解する必要があります。
バリュー平均法とは投資期間と目標額をあらかじめ決めて投資する方法です。
例えば運用期間を1年、目標額を24万円とすると、毎月2万円ずつ評価額を増やすように投資していきます。
ドルコスト平均法との違い
それではバリュー平均法とドルコスト平均法の違いを説明します。
ドルコスト平均法が毎月同じ額を投資するのに対して、バリュー平均法は毎月決まった評価額になるように投資する方法です。
- バリュー平均法:毎回投資した後の評価額が一定ずつ増える
- ドルコスト平均法:毎回投資する金額を一定に固定する
こちらの記事で詳しく解説していますので、いまいちイメージがつかないようでしたら、ご確認ください。
ノーセルバリュー平均法はバリュー平均法のアレンジ
続いてノーセルバリュー平均法について解説していきます。
この方法はマイケル・エデルソンの著書「ノー・セル・バリュー平均法」で紹介されました。
簡単に言えば、バリュー平均法の投資期間内は株の売却をしない方法です。
バリュー平均法では、期間内に株価が上がって目標額を上回ると、その分の株を売却していました。
ノーセルバリュー平均法ではそれを売らずに、保有し続ける方法です。
ノーセルバリュー平均法のやり方
先ほどの説明をもとに、実際に株取引でどのような買い方をするか説明します。
目標額を50万円、投資期間を1月から5月としてノーセルバリュー平均法で投資していきます。
上のみどりの折れ線が1月から5月までの株価推移を示していて、下のグラフの棒グラフが毎月月初の評価額です。
赤い太線が目標ラインで最終目標5月に50万円を達成するように、1か月で10万円ずつ増える計画を立てています。

1月から5月の具体的な行動内容は以下の通りです。
- 1月
株価が1000円なので100株買って評価額が10万円 - 2月
株価が900円に下がり評価額が800円×100株で8万円
目標額は20万円なので、12万円分の株(12万円÷800円=150株)を購入 - 3月
さらに600円に株が下がったので、評価額は600円×250株=15万円
目標額は30万円なので、15万円分の株(15万円÷600円=250株)を購入 - 4月
株価が900円に上がって評価額は900円×500株=45万円
目標額40万円を上回っても株はホールド - 5月
株価が1100円に上がって評価額は1100円×500株=55万円 - 目標額50万円を上回っても株はホールド
ノーセルバリュー平均法をシミュレーションしてみた

それではノーセルバリュー平均法を実際の株価を使ってシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションのやり方
今回は過去の日経平均の株価に基づいてバックテストをします。
どの投資方法が有効かを比較するために、3つの投資方法で検証します。
- 2011年1月から2021年12月までの間、毎月の終値で日経平均を取引
- ドルコスト平均法の場合は、毎月1万円で買える株数を買っていく
- バリュー平均法の場合は、毎月評価額が1万円増えるように株を買っていく
(評価額が目標を超えた分は売却) - ノーセルバリュー平均法の場合は、毎月評価額が1万円増えるように株を買います
(評価額が目標を超えても売りません)
検証結果
評価額の推移
まずは毎月の評価額の推移を比較します。
下のグラフが2011年から2021年まで運用した時の、毎月の評価額を表しています。

まずバリュー平均法は必ず毎月1万円増えるように株を購入・売却するので1直線に増えていきます。
一方、ノーセルバリュー平均法は評価額が目標を超えても、株を売却しないので目標のラインを下回ることはなく、ラインの上で波打つように推移しています。
バリュー平均法は株価とともに大きく変動します。
購入額の推移
続いて購入額の推移をみていきます。
下のグラフは先ほど同じ期間中の毎月の累計購入額の推移を表しています。

まずドルコスト平均法では毎月1万円ずつ購入するので、1直線で増えていきます。
続いてバリュー平均法は目標を超えた時に売却するので、購入額が所々で減少していて、最終的には一番低い購入額になっています。
最後にノーセルバリュー平均法は、バリュー平均法の推移に似ていますが、目標を超えても売却をしないので、購入額が下がることはなく横ばいになっているところがあります。
まとめ
まとめにそれぞれの投資方法を評価してみます。

最終的な評価額と購入はドルコスト平均法が最も大きくなりました。
一方で平均買い付け額と増加率(利回り)はバリュー平均法が、最も有利な結果となっています。
ノーセルバリュー平均法はその中間的な結果となりました。
ノーセルバリュー平均法のメリット・デメリット

メリット
必ず期日で目標額に到達する
バックテストの結果でわかるように、バリュー平均法は必ず自分の決めた目標額に、決めた期日で到達します。
不足分を追加で資金投入するので、当たり前ですが・・
ドルコスト平均法では、株価によって期日中に到達する金額が変わります。
取引手数料が安くできる
ノーセルバリュー平均法は評価額が目標額を超えても株を売却しません。
そのため取引手数料がバリュー平均法に比較して安くなります。
暴落に強い
バリュー平均法やノーセルバリュー平均法はドルコスト平均法に比べて暴落に強い投資法といえます。
その理由のために、バックテストの結果をもう一度ご紹介します。

ここで見てもらいたいのは「購入資金」の差です。
バリュー平均法やノーセルバリュー平均法の方が、購入資金が少ないので、それだけ余力を残して投資できているということです。
もし株価の暴落が起きても、貯金など安全資産にお金が残っているので、不安を抑えることができます。
デメリット
購入額を毎回計算する必要がある
バリュー平均法やノーセルバリュー平均法の場合、毎月評価額を確認して購入数や売却数を計算する必要があります。
そして毎月、自分で注文を発注する手間もかかります。
ドルコスト平均法だと単純に決まった額を投資するだけなので、自動積立の設定をしておくだけで放置することも可能です。
暴落時に資金が尽きて買えなくなる
リーマンショックやITバブル崩壊のような、急激な株価暴落が起きるとノーセルバリュー平均法は、一気に購入額が増えます。
手元の資金が不足して株を買えないと、平均購入単価が下がらないのでノーセルバリュー平均法のメリットが得られません。
特にノーセルバリュー平均法を始めてすぐに暴落が起きると、手もと資金に余裕がない場合が多い必要数の株を購入できない可能性があります。。
最後に
最後にこの記事をまとめます。
- ノーセルバリュー平均法は、バリュー平均法をアレンジした投資方法です
- ノーセルバリュー平均法は設定した目標値を超えても株を売却しません
- バックテストの結果はドルコスト平均法とバリュー平均法の中間的な成績になりました
- ノーセルバリュー平均法のメリットは以下の通りです
必ず期日で目標額に到達する
取引手数料が安くできる
暴落に強い - ノーセルバリュー平均法のデメリットは以下の通りです
購入額を毎回計算する必要がある
暴落時に資金が尽きて買えなくなる
バリュー平均法やノーセルバリュー平均法は、多くの相場トレンドにおいてドルコスト平均法を上回る利回りを上げることができます。
また例えば老後の資金のように、計画的にいつまでにいくら貯めたいという目標を立てやすいメリットがあります。
つみたてNISAやiDeCoでは使いにくいですが、個別株やETFを購入する場合に、使うとよいかもしれません。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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