少子高齢化による年金制度の不安や、国の「貯蓄から投資」を推奨する方針で、つみたてNISAやiDeCoを活用する会社員が増えてきました。
確かに利益が非課税であったり、税金優遇が受けられるのでおすすめの制度です。
ですが、この2つだけ満額で積み立てていけば安心かというと十分ではないと考えます。
この記事ではその理由と、ではどうしたら会社員が経済的に不安のない老後の資金計画を立てられるか解説していきます。
プロローグ

iDeCoとつみたてNISAを夫婦で満額やっているし、あとは年金があれば老後は安心だよね?

うーん。
でもiDeCoもNISAも元本保証じゃないよね。
年金も減額されるかもしれないし。

そんなこと言ってたらいつまでも不安のままだよ。

たしかにそうだけど。
一応リスクは知っておいた方が安心できるんじゃない?
この記事の内容を読むとこんなことが分かります。
- 会社員夫婦が老後にもらえる年金と必要なお金について解説します
- iDeCoとつみたてNISAを満額運用しても、老後にいくら足りないのか解説します
- iDeCoとつみたてNISAでは何故老後の資金が怖いのか解説します
- 今から取り組める資金対策をご紹介します
著者について
- 本業はサラリーマンで経理業務、副業で投資・資産運用関係の現役WEBライターをしています
- iDeCo、つみたてNISA、ジュニアNISAを毎月上限まで楽天証券で積立しています
- 節約、副業で貯めた資金をコツコツ投資、40歳で資産は4000万円オーバーしました
・この記事を書いている私のプロフィールはこちらです。
- 節約と投資と副業が趣味の40代サラリーマン
- 仕事は原価計算などお金に関する仕事一筋
- 趣味が興じて簿記2級を独学で取得
- 4人家族で生活費は月27万円。資産は4千万
- 35歳でうつ病を経験し、会社に依存しない生き方に挑戦中
つみたてNISAとiDeCo両方満額で併用しても老後が不安な理由

国民年金と厚生年金の受給額は
国民年金は65歳から受給開始したときの金額で計算しています。

65歳からもらえる年金は国民年金と厚生年金合わせると15万5千円になります。
夫婦の場合では、妻が専業主婦の場合と、共稼ぎの場合で下記のように違いが出ます。
- 共働き世帯:31万3千円
- 専業主婦世帯:22万1千円
(出展:厚生労働省「平成31年度の年金額改定についてお知らせします」)
老後に必要なお金
次に老後に必要なお金を調べた結果は以下の通りです。
老後の生活費
- 平均的な出費の夫婦2人世帯:27万929円
- ゆとりがある夫婦:36万1,000円
(出展:保険のぜんぶ)
老後に不足する金額は
それでは世帯ごとに老後に必要なお金から年金受給額を引いた結果をまとめてみます。
赤字で書いた部分は年金受給額が足りない赤字家計という事です。

「平均的な支出-共働き世帯」以外の組み合わせでは、赤字家計になることが分かりました。
もし夫婦が90歳まで生きた場合の不足額は以下の通りです。
- ゆとりのある生活-共働き世帯:1,440万円
- 平均的な支出-専業主婦世帯:1,740万円
- ゆとりのある生活-専業主婦世帯:4,200万
iDeCoとつみたてNISAどっちも投資してても不安な理由
それでは年金だけでは不足する赤字家計が、なぜiDeCoとつみたてNISAでは補填できないか解説していきます。
iDeCoとつみたてNISAは限度額がある
まずiDeCoとつみたてNISAは株式投資などを非課税で運用できるお得な制度です。
そのためいくらでも運用できるわけではありません。
会社員の上限額
- iDeCo:年間14万4千円~27万6千円
- つみたてNISA:年間40万円
上限額いっぱいでつみたてNISAの最長投資期間(20年間)まで、iDeCoとつみたてNISAを運用した場合の運用額は以下のようになります。
(年間の利回りを5パターンで計算)

20年間運用した結果
- 利回り年-4%:933万円
- 利回り-2%:1,145万円
- 利回り0%:1,419万円
- 利回り2%:1,777万円
- 利回り4%:2,247万円
利回りが2%以上あれば、「平均的な支出-専業主婦世帯」「ゆとり支出-共働き世帯」は前章の不足額を補填できます。
ですが利回りが0%以下なら、赤字は解消されません。
また「ゆとり支出-専業主婦世帯」は利回りが4%でも、まだ2,000万円近い赤字が残ります。
またiDeCoは受け取り方を間違えると、課税対象になってしまうので、上記の金額まで受領できない可能性があります。
定年後に株価が暴落する
定年後に株価が暴落すると、iDeCoとつみたてNISAの運用額が大きく目減りします。
過去に起きた株価暴落における下落率は以下の通りです。
- ブラックマンデー:-30.1%
- ITバブル崩壊:-16.8%
- リーマンショック:-25.2%
- 欧州債務危機:-16.7%
- コロナショック:-18.9%
もし定年後に同じレベルの株価暴落が起きると、赤字の補填ができなくなります。
年金の受給額が減る可能性がある
これから増々、少子高齢化が進んでいくため前章で計算した金額ほど、受給額がもらえない可能性があります。
下記のように国民年金の受給額は2004年から2016年の間で約1600円下がっています。

また厚生年金(老齢年金)は2010から2018年の間に約8,000円下がっていることが分かります。

退職金が減る可能性がある
退職金は今回の計算の中では出てきませんでしたが、減額されれば当然老後資金に影響が出ます。
実際に退職金は年金以上に激しく減額されてきています。

住宅ローンを退職金が完済する計画などしていると計画が狂う可能性があります。
借金の返済は退職金では無く、働いている間に完済しておくことが必要です。
老後資金の不安を解消する方法
iDeCoとつみたてNISAだけでは老後の資金不安はなくなりません。
それではどうすれば私たち会社員は安心して老後を迎えられるのでしょう。
家計簿をつけて生活費の無駄を削減する
まず最初にやりたいことは、家計簿をつけて自分の生活費を把握することです。
生活費が把握できたら、無駄に浪費している項目を見つけて削減しましょう。
月に1万円無駄な出費を抑えられれば、老後30年では360万円になります。
お金の不安を解消する家計簿のつけ方を紹介してます。
定年後の収入源を作る
多くの会社員は自分の会社以外から給料をもらっていません。
そうなると定年退職すると年金以外の収入がないので、年金の減額や株価の暴落などが起きても受け身になるしかありません。
能動的に自分の生活を守るためには、会社以外からの収入を得る方法を身につけることが大切です。
5年分の生活費を貯金しておく
貯金が無いのに定年後に株価が暴落してしまうと、iDeCoとつみたてNISAを評価損でも売却しないといけません。
それを防ぐためには5年分の生活費を貯金しておくことが必要です。
なぜなら株価の暴落が起きた場合、株価が戻るまでに長いと5年間かかるからです。
生活費が平均的な27万円だと、1,620万円が必要になります。
退職金に手をつけなければ、退職金プラスアルファで用意ができます。
年金の受給年齢を繰り下げる
年金の受給額を増やす方法は、年金の受給年齢を繰り下げることです。
最大で75歳まで繰り下げることができます。
85歳まで生きると、60歳から受給するより約25%受給額が増えます。
詳しくはこちらの記事で紹介しています。
最後に
最後にこの記事をまとめます。
- 平均的な支出であっても、会社員夫婦は老後年金だけだと毎月の家計が赤字になります。
- iDeCoとつみたてNISAを満期・満額で運用しても、老後資金が不十分な理由は以下の通りです。
①iDeCoとつみたてNISAは限度額がある
②定年後に株価が暴落する
③年金が減る可能性がある
④退職金が減る可能性がある - 老後のお金の不安を解消する方法は以下の通りです。
①家計簿をつけて生活費の無駄を削減する
②定年後の収入源を作る
③5年分の生活費を貯金しておく
④年金の受給年齢を繰り下げる
団塊ジュニア世代が老後を迎えたころには、現在の年金制度が一段と厳しい条件に変わる可能性が高く、ますます老後資金の自己責任化が進んでいくことが予想されます。
もし自分に子供がいても、その子供たちは増え続ける社会保険料で経済状態はひっ迫しています。
そのため老後に支援してもらえる可能性も低いでしょう。
iDeCoやつみたてNISAを始めるのはもちろん、プラスアルファで老後の対策を始めることをお勧めします。
さらに詳しい投資に関する知見をこちらの記事でまとめています。
このブログでは節約・副業・投資に関する資産形成に役立つ情報を紹介しています。
一人でも多くの読者の方が、今日から豊かな人生設計を始めるきっかけになればと思っています。
良かったら気になる記事があれば、こちらから是非お読みください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※関連記事です
←この記事がお役に立ちましたらクリックしていただけると励みになります
人気ブログランキング
←この記事がお役に立ちましたらクリックしていただけると励みになります
にほんブログ村
コメント