身近な同僚がうつ病になったり、知り合いがうつ病になったという話を聞いたりしませんか?
コロナ禍の影響もあって、うつ病の患者数は1996年に比べて約3倍の127万人に増加したというニュースが話題になっています。
今では誰でもうつ病にかかる可能性があるので、もしもの時に金銭的な不安を持たないように、常日頃から危機管理が必要です。
うつ病を経験した著者の体験談や、どのように備えておけばよかったのかまとめて紹介します。
プロローグ

隣の職場の後輩が突然うつ病で今日から休むんだって。
1人暮らしで寮だからお金は何とかなるみたいだけど。

そうか。
家族がいたらきっと大変だよね。
収入が無くなっちゃうんでしょ?

手当が出るらしいけど、どれくらい出るんだろう・・
一度調べておいた方がいいね。
この記事の内容を読むとこんなことが分かります。
- うつ病の基本や治療、復職の流れを説明します
- 休職中にもらえるお金と、必要なお金を1つずつ解説します
- うつ病でお金の不安を無くすための方法を紹介します
著者について
- 35歳でうつ病で1年半の休職を経験、お金の不安をリアルに体験しました
- うつ病の休職経験を経て、家計簿をつける大切さに築き、資産形成を始めました
- 40歳で専業主婦の妻と2人の子供を養いながら、資産4千万円達成しました
・この記事を書いている私のプロフィールはこちらです。
- 節約と投資と副業が趣味の40代サラリーマン
- 仕事は原価計算などお金に関する仕事一筋
- 趣味が興じて簿記2級を独学で取得
- 4人家族で生活費は月27万円。資産は4千万
- 35歳でうつ病を経験し、会社に依存しない生き方に挑戦中
うつ病で休職中にもらえるお金は?働けない間の心配を無くす方法

うつ病は気分の落ち込みややる気が出ないといった精神的な症状、眠れない体がだるいという身体的な症状が現れる病気で「気分障害」の1つです。
患者数は年々増え続けていて、誰でもなりえる病気といえます。
うつ病患者の推移
厚生労働省の調べによると、うつ病を含む気分障害は年々増え続けています。

気分障害の患者数は1996年と比較して、2017年には約3倍の127.6万人に増加しています。
うつ病を患っている人の中には病院に通わない人も多いので、実際の患者数はもっと多いはずです。
コロナウイルスの蔓延で、うつ病を患う人はさらに増えていることが予想されます。
年齢別では約半数が30代から50代になっていて、働き盛りと言われるこの世代に多くみられることが分かります。
うつ病になる原因
うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態です。
発症の原因ははっきりとは分かっていませんが、実際にうつ病を患った患者さんの多くが下記のようなきっかけを経験しています。
うつ病の原因
- 職場の人間関係のトラブル
- 長時間労働による慢性的な疲労
- 家族の介護疲れ
- リストラ
- 健康不安
- 金銭的な不安
私の場合は職場の人間関係がきっかけになりました。
うつ病が怖いのは、徐々に症状が現れるため自覚症状がハッキリする時には、かなり進行してしまっていることです。
そうなってからうつ病に備えて準備を始める気力や判断力は無くなっているので、症状のない段階から備えておく必要があります。
うつ病の治療方法と必要期間
うつ病の治療は、十分な休養を取ることと、適切な薬物療法が一般的です。
まず医師にうつ病と診断されると、早ければ翌日からすぐ休業に入ることになります。
私の場合も、月曜日の終業後に診察を受けて、引き継ぎもなく火曜日から休業に入りました。
- 身体的疲労が原因:3か月程度
- 心理的疲労が原因:1年から1年半程度
(私の主治医の見解とインターネット情報による)
身体的な疲労が原因の場合は、十分な休養を取って体力がつけば治るため割と短期間です。
逆に人間関係のトラブルなど、精神的なストレスが原因の場合は、治療期間が長くなる場合が多くなります。
うつ病と診断されて復職までの流れ
うつ病と診断されてから復職までの基本的な流れは次の通りです。
- うつ病と診断されて休業に入る
- 体の疲れが取れるまでゆっくり休む
- 出来る範囲で身の回りのことを始める
- 外出して体を動かす
- 就業時間中に図書館などに出かける
- 週5日間8時間、作業できるようにする
- 会社の担当者、産業医などと復帰面談する
- 経過観察しながら仕事を開始
この期間は働いて収入を得ることはできません。
金銭的な問題が起きる可能性を次の章で詳しく検証していきます。
うつ病で働けなくない間にもらうお金・払うお金

うつ病期間中にもらえるお金、出ていくお金を1つずつ解説していきます。
もらえるお金
傷病手当金・傷病手当付加金
傷病手当金は連続4日以上仕事を休むと、4日目から支給されるようになります。
金額は休業に入る前の1年間の平均月収の2/3で、復職するか最長で1年6か月間支給されます。
傷病手当付加金は傷病手当金に追加で支給される加算金です。
付加金は企業によって設定があるところと無いところがあり、金額や支給期間もそれぞれです。
勤務先の就業規則などを確認しておく必要があります。
自立支援医療制度
医師からうつ病の診断がでると、自治体に申請することができます。
うつ病患者の経済的負担を減らすために、精神科やクリニックの通院費、うつ病の薬代などが無料になる制度です。
申請に必要な書類
- 申請書(役所で入手可能)
- 医師の診断書
- 世帯所得が確認できる書類
- 健康保険証
- マイナンバーカード、通知書
ボーナス(賞与)
休職者へのボーナス支給は企業によって違いがあり、会社ごとの就業規則や労使との協定で規定されています。
多くの企業では、休職前に比較してかなり減額される点に注意が必要です。
正確に把握するには、会社の就業規則や賞与規定などで確認する必要があります。
その他手当金・補助など
その他にもらえる手当や補助などがあれば、忘れずに申請しましょう。
- 会社や労働組合から見舞金がもらえる
- 有給休暇が残っていれば取得すると、その分のボーナスがもらえる
- 民間の保険に加入していれば保険金を申請する(就労不能保険など)
支払うお金
休職中に支払うお金を1つずつ確認していきます。
生活費
休職中の毎月の支払いは、休職前より自宅で過ごす時間が増えるので、やや増加する傾向があります。
- 光熱費
- 水道代
- 食費
私が休職中の間は、これらの費用が若干高くなりました。
特に夏場と冬場は自宅でエアコンを使う機会が増えるので、電気代が高くなる傾向がありました。
一方でこちらの費用は下がります。
- 交際費
- 交通費
- 娯楽費
トータルすると生活費は休職前後で大きな違いはありませんでした。
住宅ローン
休職中に大きな負担となるのが、まず1つ目に住宅ローンの支払いです。
休職期間中でも支払の休止や、返済額の減額はできませんでした。
ボーナスでまとまった金額を返済に当てている場合は、特に注意が必要です。
ボーナスの支払いが無いのに関わらず、数十万円の返済義務が発生する可能性があります。
社会保険料・住民税
休職中の大きな負担2つ目が社会保険料と住民税です。
休職で給料がもらえなくなっても、社会保険料と住民税は休職前と同等の金額が毎月かかります。
休職前の平均月収に対して加算されるので、減額措置もありません。
そのため休業で減った収入に対して、社会保険料と住民税の割合が高くなり負担が重くのしかかってきます。
生命保険・個人年金など
毎月積立式の生命保険や個人年金に入っていれば、休職中も支払いが続きます。
もし毎月の貯蓄分をすべて、個人年金などに積立していると、いざ休職すると家計が赤字になってしまいます。
うつ病でお金が心配にならないためにできること

収入が2/3になっても支出はほとんどことがお分かりになったと思います。
それでは、うつ病で休職しても金銭的に困らないようにするのには、どうすれば良いのか紹介していきます。
うつ病になる前に準備できること
就労不能保険
民間の保険で、休職になると日当たりでいくらかもらえる保険があります。
ただし就労不能保険の中には、精神疾患は受給条件として認められないものもあるので、注意が必要です。
精神疾患を受給の対象にしている保険は、保険料が高くなる点も気をつける必要があります。
例えば「アクサダイレクト」の就業不能保険は、うつ病に対応していて月額2,200円の保険料です。
うつ病で休職すると回復するまで回数無制限で、毎月10万円の保険金が受給できます。

うつ病に全く疎遠な人が入る必要はありませんが、次のような人は検討すると良いかもしれません。
- 日々の生活に楽しみが少ない
- 人と会話するのが苦手、感情表現が乏しい
- 自分を責める癖がある
- 毎日多忙でいつも疲労感がある
- 両親のどちらかがうつ病を患った
- 職場の人間関係にストレスを感じる
生活防衛資金を用意する
生活防衛資金は、何らかのトラブルで収入がなくなったり、大きな出費が必要になったときのために準備するお金のことです。
うつ病で収入が減る場合も、生活防衛資金の備えがあると、経済的な面で感じるストレスは減少できます。
こちらの記事で詳しく解説しています。
不労所得を作っておく
不労所得とは、自分で働かなくても手に入れられる収入のことです。
例えば株の配当や、不動産の家賃収入などです。
株の配当は3%程度なので、1,000万円分の株を持っていて得られる利益は30万円なので、生活を支えられるほどではありません。
ですが休職中には、これでも精神的な支えになります。
そのため健康に働けている間は、生活費を抑えて投資に一定額を回せるように心がけると良いです。
稼いでいる時期に休職に入る
ここで紹介する方法は、自分でコントロールするのは難しい内容です。
ですが頭の片隅にとどめておいて、実践できると金銭的な不安が少し軽減されます。
休職中にもらえる傷病手当金は、休職前1年間の平均月収をもとに計算されます。
そのため休職前1年間が残業がなくて収入が低い場合と、残業を目いっぱいしていて収入が高い場合ではもらえる額がかなり違います。
できれば収入が高い状態から、休職に入れるともらえる傷病手当金が高くなります。
うつ病になってからできること
家計簿で支出を管理する
休職中に元気が出てきたら、まずやりたいのが家計簿をつけることです。
頭の体操にもなるし、お金に対する不安を和らげる効果もあります。
自分が休職していても、やりくりできているか分かれば、安心するからです。
無駄な支出を減らす
家計簿をつけると、毎月無駄遣いしている項目が見つかります。
- 使わなくなったアプリやサブスク
- クレジットカードの年会費
- 利用していない音楽、動画サービス
- 入らなくても良かった保険
無駄な家計費を削減していくと、スッキリした気分になるので、うつ病の症状にも効果的です。
お金のかからないストレス解消法を見つける
うつ病で家にこもっていると、精神的にはあまりよくありません。
体力も落ちるので、できる範囲から外出をします。
まずは家の周りを散歩して、少しずつ距離を伸ばしていきます。
特に午前中に日光を浴びるとセロトニンという幸福ホルモンが発生するので、ゆっくり歩いているだけでうつ病には効果があります。
うつ病患者に限らず、万人にできるストレス対策が散歩です。
できる範囲で家事育児をして妻の就業を助ける
かなり元気が戻ってきたら、家のことや子供の面倒を見るなどできるようになります。
そうすると妻が残業できたり、在宅でできる仕事を始められるので収入が増えます。
家事・育児は体力を取り戻すのにも効果的だし、休職中の金銭的な不安が軽減するので一石二鳥です。
最後に
最後にこの記事をまとめます。
- うつ病患者は年々増え続けていて、30代から50代の会社員には深刻な問題です
- うつ病は身体的なストレスと精神的なストレスが原因で、長いと1年以上休職が必要です
- 休職期間中にもらえるお金は以下の通りです
①傷病手当金・付加金:休業前の2/3
②自立支援医療制度:うつ病医療費の無償化
③ボーナス:企業ごとの規定による
④その他(保険、見舞金など) - 休職期間中にかかるお金は以下の通りです
①生活費
②住宅ローン
③社会保険料
④生命保険・個人年金など - うつ病でお金の心配をしないためにできることは以下の通りです
①就労不能保険に入る
②生活防衛資金を用意する
③不労所得を作る
④稼いでいる時期に休職に入る
⑤家計簿をつける
⑥無駄な支出を止める
⑦お金のかからないストレス解消を見つける
⑧妻の就業を助ける
うつ病は自覚症状が現れると、そこから自分で対策して治すことが困難な病気です。
私の場合は、頭が働かなくなって判断能力がドンドン失われていったので、休職するまで何も準備ができませんでした。
気付いたらうつ病と診断されて、会社を1年半休むことになりました。
もしうつ病になる前に危険に気付けていたら、この記事で書いてあった対策を取れて、金銭的に困ることが無かったと思います。
いつ誰でもなりえる病気なので、健康なうちから備えておくことをお勧めします。
うつ病に備えると自然と貯蓄ができる家計に変わっていくので一石二鳥ですよ。
このブログでは家計簿や節約など資産形成に関する知見をこちらの記事でまとめています。
このブログでは節約・副業・投資に関する資産形成に役立つ情報を紹介しています。
一人でも多くの読者の方が、今日から豊かな人生設計を始めるきっかけになればと思っています。
良かったら気になる記事があれば、こちらから是非お読みください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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コメント
wunagiさん、はじめまして。
かずきびと申します。
とても整理されていて、有益な記事ですね。
私も40代半ばで似たような境遇となり、うつ病で会社員を辞めた経験があります。
多くの会社員の方々もこのような境遇になるリスクがあります。
なってからでは焦る一方ですので、
wunagiの記事のような、役に立つ記事が広まることを願っています。
今後も更新、楽しみにしています。
かずきび様
コメントいただき、ありがとうございます!
会社を辞められてしまったんですね。
かずきび様のコメントの通り、誰でもいつなるか分からない病気なので、一人でも多くの人が経済的な不安から解放されるようにと考えております。
一度かかると再発率の高い病気でもあるので、無理せず今後もご自愛ください。