「ジョブ型雇用」の導入を検討している企業が増えてきたというニュースを耳にしませんか?
日本のサラリーマンの生産性の低さは大きな問題になっていて、生産性が高い欧米の企業が採用しているジョブ型雇用を導入したほうが良いのではという考えです。
経団連はすでにジョブ型雇用制度の導入に前向きな姿勢です。
日本のサラリーマンの働き方を大きく変える、ジョブ型雇用システムについて詳しく解説いたします。
プロローグ

富士通でジョブ型人事制度が始まったんだってね。
優秀な専門技術者には、年収2500万円以上払う制度もあるんだって。

ジョブ型人事制度って何?

プロフェクトごとに必要な人を集めて、終われば解散する感じだね。
欧米では普通のシステムだけど、日本では今後広がってくと言われているよ。
この記事の内容を読むとこんなことが分かります。
- ジョブ型雇用が主流になると転職が当たり前の社会になります
- ジョブ型雇用の良くある勘違い、成果主義や裁量労働との違いを説明します
- ジョブ型雇用のメリット、デメリットを解説します
- ジョブ型雇用がなぜ今後広まるのか説明します
- 今後の会社員の気をつけること、どのような行動が必要か紹介します
著者について
- 上場企業に勤める職歴15年以上の中堅サラリーマン
- 社内では一部ジョブ型人事制度がすでに導入されて、新しい働き方を目のあたりにしています
- サラリーマンの資産形成に関するブログで情報発信しています
・この記事を書いている私のプロフィールはこちらです。
- 節約と投資と副業が趣味の40代サラリーマン
- 仕事は原価計算などお金に関する仕事一筋
- 趣味が興じて簿記2級を独学で取得
- 4人家族で生活費は月27万円。資産は4千万
- 35歳でうつ病を経験し、会社に依存しない生き方に挑戦中
ジョブ型雇用のメリットとデメリット。これからの働き方はどう変わる
![「仕事中に寝落ち猫」の写真[モデル:プー]](https://www.pakutaso.com/shared/img/thumb/nekocatPAR584702405_TP_V.jpg)
ジョブ型雇用は決して新しい働き方ではありません。
欧米では古くから導入されているシステムです。
まずはジョブ型雇用の基本を解説いたします。
ジョブ型雇用とは
ジョブ型雇用は「特定の業務のために、必要なスキルを持った人材を採用し、成果によって雇用の継続や処遇が決まる仕組み」です。
最初から必要なスキルを持った人をそろえるので、人材育成のコストや期間が不要です。
高いスキルを持つ人ほど、高い報酬をもらえるので、海外企業への流出が防げたり、優秀な人材を海外から引き抜けるようになります。
経団連がジョブ型雇用の推進に前向きな発言をしたことで、さらに注目されるようになりました。
ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用
ジョブ型雇用と対照的な雇用システムが、従来の日本型雇用といわれる「メンバーシップ型雇用」です。
メンバーシップ型雇用は、入社する段階では職務が決まっておらず、入社後に職場や職種を会社が命じるシステムです。
それぞれの特徴を項目ごとに表にまとめます。

この表を見るとジョブ型雇用はより流動的な社会で、解雇のハードルが下がります。
そのため成果主義という印象を受けると思いますが、決してそうではありません。
ジョブ型雇用=成果主義は誤解
成果主義は1990年代後半に、多くの日本企業が人件費抑制のために導入して失敗に終わりました。
失敗の理由は日本の雇用システムがメンバーシップ型で、本人が仕事を選べないのに成果だけ見られることに、社員の反感を買うことになったからです。
成果主義とジョブ型雇用とは別物です。
- 成果主義:高い成果を出すほど報酬が高くなる
- ジョブ型雇用:決められた範囲の仕事をこなすこと
ジョブ型雇用と裁量労働制の違いは
似た意味にとらわれがちな裁量労働制も、ジョブ型雇用とは別物です。
裁量労働制とは
- 勤務時間が固定されていない
- 仕事量でみなし労働時間が設定されている
- 労働者自身で労働時間を管理する
裁量労働制とは労働時間について規定しているもので、雇用制度には触れていません。
日本企業で裁量労働制を導入して問題になるのは、メンバーシップ型雇用で仕事の範囲が明確でないのに、みなし労働時間が設定されてしまうことです。
例えば上司から急な仕事を依頼されても断れず、その分の労働時間が評価されなくなってしまうからです。
ジョブ型雇用の狙い
ここまで説明したように、これまで日本企業は人件費の抑制・コントロールのために、成果主義や裁量労働制を導入して上手くいかなかった経緯があります。
ですがグローバル競争で企業が生き残るために、ジョブ型へシフトする企業が現れています。
海外人材を多く採用する企業では、特に早い段階からジョブ型雇用システムを採用してきました。
例えば武田薬品工業はすでに9割が外国人社員で、世界市場で戦うために伝統的な日本経営を脱却しました。
ジョブ型雇用導入の背景・狙いは以下の通りです。
- 優秀なスキルを持った人材を確保する
- 年功序列の見直し
- 若手社員のモチベーションを上げる
- リモート環境でもパフォーマンスを明確にする
ジョブ型雇用のメリット・利点

それではジョブ型雇用のメリットを解説いたします。
社会全体の流動性が上がる
ジョブ型雇用では、プロジェクトごとに必要なスキルを持った人材を集め、終了すれば解散します。
そして解散したメンバーは、新たに自分のスキルが活かせる職場へと移ります。
そうなると雇用の流動化が進み、転職市場が活発になります。
社員は自分に合わない職場に固執する必要が無くなり、ブラック企業のように、低賃金で長時間労働を強いるような会社がなくなる可能性があります。
仕事を選べる
今のメンバーシップ型雇用では、新卒一括採用で配属先は自分で選べないことがほとんどです。
営業職、経理、企画、技術などどこに配属されるか分からず、希望する部署に配属されなかったときも、簡単に会社を変えるわけにいきません。
一方でジョブ型雇用では自分の希望する職種で働けます。
また会社内での異動も無くなるので、自分の希望しない部署転換が無くなります。
能力が高ければ給料が増える
年功序列が一般的な日本企業では、能力があって成果を出しても若いうちは大きく昇級しません。
ジョブ型雇用であればポジションによって給料が決まるため、年齢は関係ありません。
またスキルが認められれば、高い報酬の企業に転職することができて、報酬アップが期待できます。
働かないおじさんの既得権益が無くなる
ジョブ型雇用では職務の価値によって報酬が決まります。
そのため年齢が高いだけで高級を貰うことができなくなり、「働かないおじさん」には厳しい環境になります。
これまで年功序列に慣れた中高年は、急にジョブ型雇用にシフトされると減給や雇用を失う可能性があります。
ですが企業の競争力や、若者のモチベーションを考えるとメリットと言えるでしょう。
ジョブ型雇用のデメリット・危険性

それではジョブ型雇用のデメリットはどんなところにあるのでしょうか。
社内異動がなくなる
例えば会社の中の何かのプロジェクトが中止になった場合、従来のメンバーシップ型雇用では廃止プロジェクトのメンバーは別のプロジェクトに異動します。
一方でジョブ型雇用では、プロジェクトごとに必要な人材を集めるので、中止になったプロジェクトメンバーは解雇されます。
ジョブ型雇用が浸透している欧米では、プロジェクトの中止は解雇のリストラの正当な理由として認められています。
日本でも同様の考え方が導入される可能性があります。
各種の手当がなくなる
ジョブ型雇用では、社員の家族構成や年齢など抱えている背景は、雇用している企業には無関係になります。
そのため様々な手当関係は見直される可能性があります。
- 家族手当
- 皆勤手当
- 休業手当
- 介護手当
減給・降格・解雇が増える
ジョブ型雇用ではスキルのない社員には与えられる仕事がなくなります。
そうなると年齢が上がっても、重要なポストにつけず昇級しないケースが増えます。
さらには優秀な若手社員に自分のポジションを奪われて減給する、最悪は解雇の可能性が出てきます。
これまでの「安定した正社員の身分」が失われてしまうことに繋がってきます。
ジョブ型雇用で変わる今後の働き方

それでは私たち会社員は、今後どのように働き方を変えていくのが良いのでしょうか。
採用している企業のケース
資生堂や日立製作所は、日本でいち早くジョブ型雇用を導入した企業です。
日立製作所では社員のスキル・経歴・評価を共有するプラットフォームを導入して、10年以上の期間をもとに人材データベースを整備して、ジョブ型雇用に移行しました。
資生堂では役割ごとに等級を決めて報酬を設定する制度を、国内の一部管理職に適用しています。
ジョブ型雇用は今後増えるのか
ジョブ型雇用を一部導入する企業は増えています。
ジョブ型雇用を導入している企業
- 花王
- 富士通
- KDDI
- Panasonic
- 三菱ケミカル
- 双日
まだまだ一部の会社だけだと思うと、決してそんなことはありません。
日本型雇用ではグローバルな競争で勝てない問題は、社会問題になっていて人事制度の見直しは進まざる得ないからです。
好き嫌いにかかわらず、ジョブ型雇用への転換は進んでいくと思います。
ジョブ型雇用に向けて必要な対応は
社内フリーランスの意識で働く
ジョブ型雇用が採用されると、上司から細かく指示されて仕事をするのではなくなります。
自分で考えて与えられた役割を遂行する必要があるので、自立した働き方が求められます。
社内フリーランスとは
- タニタや電通で一部の社員が実践している制度
- 年ごとの業務委託契約を結んで働く
- 仕事の時間や場所に縛られない働き方ができる
- 成果をどれだけだしたか社員より厳しくみられる
本当に社内フリーランスとして働くのではなく、普段から会社となれ合いの関係にならないよう注意して働くということです。
そのために上司をクライアントと想定して、依頼された業務を正確にこなし、ミスは自分の責任として処理するようにします。
自分の業界で必要とされているスキルを把握する
今後は同じ会社で働き続ける可能性は低くなります。
そのため自分の会社でしか通用しないスキルしか持っていないと、その事業が廃止になって解雇されると、転職も出来なくなります。
例えばプログラマーの仕事をしているなら、どのような言語がメジャーに使われているのか把握しましょう。
もし自分が会社で使っている言語が、他社ではほとんど使っていないようなら、自分のスキルが役に立たない可能性があります。
独学でほかのプログラムを勉強して、副業で仕事をすればスキルを磨くことができます。
転職市場での価値を確認する
最後に、自分にどれだけの価値があるのか客観的に確認しておきましょう。
転職エージェントで、自分の市場価値がどれくらいあるのか簡単に診断することができます。
現在の状況の他にも、どうすれば市場価値を上げられるのかヒントを貰うことも出来ます。
いつでも有利な条件で転職できるようにしておくことは、ジョブ型雇用の社会では必須の条件です。
簡単に市場価値診断が受けられるサービスをご紹介します。

②ミイダス

最後に
最後にこの記事をまとめます。
- ジョブ型雇用はプロジェクトごとにメンバーを集めるので転職社会が訪れます
- ジョブ型雇用は「決められた範囲の職務を遂行する」契約で働くため、会社とはドライな関係です
- ジョブ型雇用のメリットは以下の通りです
①社会全体の流動性が上がる
②仕事を選べるようになる
③能力が高いと若くても給料が上がる - デメリットは以下の通りです
①社内異動がなくなり、解雇が増える
②各種手当がなくなる
③言及、降格、解雇が増える - 今後ひろがるジョブ型雇用では次のこと意識すると良いです
①会社に頼らない自立した仕事の仕方を心がける
②社会的に必要なスキルを身につける
③市場価値を確認する
従来の日本の人事制度「メンバーシップ型雇用」が上手くいっていた頃は、市場の規模が右肩上がりに拡大していた時期でした。
この時代は社員全員が会社の歯車として機能すれば、問題なく売り上げが伸びていきました。
ですが今後は市場の拡大は減速し、その中で多くの企業間でシェアを奪い合う競争が繰り広げられていきます。
そんな社会に対応できる企業に必要とされる人材は、やはり社会から必要とされる専門性をもった社員だと思います。
自分の市場価値を見極めて、今後の自分に必要なスキルを積極的に身につけていくことが重要になると思います。
その一つの手段が副業です。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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