人生100年時代ともいわれるようになって、老後の資金が足りなくなる長生きリスクが問題になっています。
折角定年まで頑張って働いて長生きしたのに、お金に困ってわびしい老後にはしたくないですよね。
そのためには一生受け取れる終身年金を確保することが必要ですが、トンチン年金(終身保険)はおすすめしません。
理由は利回りが圧倒的に低くくて、他の金融商品に投資した方が多くの利益を得られるからです。
この記事ではなぜトンチン保険の利回りが低いのか、シミュレーションでご説明します。
プロローグ

老後のお金って年金だけでは足りないんだって。
保険会社の終身保険に入った方がいいのかな?

専業主婦の家だと、国民年金と厚生年金を合わせても、平均で23万円といわれているね。
それだと毎月足りない分を貯金を崩さないといけないね。
でもトンチン年金(終身保険)はどうなのかな?
この記事の内容を読むとこんなことが分かります。
- トンチン年金とは何か、メリット・デメリットを紹介します
- トンチン年金に加入した場合のシミュレーション結果をご説明します
- トンチン年金の利回りを寿命ごとに計算しました
- トンチン年金よりおすすめな終身年金の受け取り方を紹介します
著者について
- 40代会社員で、専業主婦の妻と2人の子供がいます
- 年金対策に節約・副業・投資に取り組んで、ブログで解説しています
- 節約、副業で貯めた資金をコツコツ投資、40歳で資産は4000万円オーバーしました
・この記事を書いている私のプロフィールはこちらです。
- 節約と投資と副業が趣味の40代サラリーマン
- 仕事は原価計算などお金に関する仕事一筋
- 趣味が興じて簿記2級を独学で取得
- 4人家族で生活費は月27万円。資産は4千万
- 35歳でうつ病を経験し、会社に依存しない生き方に挑戦中
トンチン年金(終身保険)はおすすめか?シミュレーションで判明

17世紀にイタリアのロレンツォ・トンティーという方が発明したのでトンチン年金と呼ばれています。
聞きなれない保険ですが、公的年金もトンチン年金の仕組みが取り入れられています。
まずは基本的な内容をご紹介します。
トンチン年金とは
人生100年時代ともいわれている昨今、多くの現役世代の人が老後の資金不足を懸念しています。
トンチン保険とは終身保険の1種で、設定した年齢から生涯受給できる保険のことです。
長生きすればするほど、払った保険料より多くの保険料がもらえるためお得になります。
具体的なイメージを図で説明すると以下のようになります。

- 50歳から70歳:保険料を毎月積立する
- 70歳から:毎月年金を受給、長生きすると支払った保険料を上回る
トンチン年金と終身年金の違い
トンチン年金が普通の終身年金と違う点をご説明します。
トンチン年金の特徴
出資者が亡くなった場合に、その人が払っていた掛け金が、生存している他の出資者に移る
つまり早く無くなってしまった出資者は年金をもらえず、その分は長生きした出資者に振り分けられるという事です。
日本の年金制度には、トンチン年金の考え方が取り入れらています。
民間の個人型終身保険にも取り入れられていますが、多くの場合は死亡時の払戻金が設定してあります。
その中で払戻金が低く設定してある保険のことをトンチン年金やトンチン保険といいます。
トンチン年金(終身保険)のメリット・デメリット

トンチン保険のメリット・デメリットを解説いたします。
メリット
長生きリスクに対応できる
「お金が心配だからそんなに長生きしたくない。」
という考えの若い人が増えているそうです。
ですがもし思ったより長生きしてしまって、老後破綻したら惨めな老後を送ることになってしまいます。
そういった場合には、トンチン年金で不足する収入を補えれば、生活費に悩むストレスが軽減します。
資産の取り崩しストレスが無い
生活費の心配がないほどの資産があったとしても、貯金を取り崩して生活するのはストレスになります。
例えば老後のために必要と言われる2,000万円を用意したとしても、毎月貯金額が減っていく生活というのは精神的にプレッシャーがあります。
自分がこの先何歳まで生きるのか分からないので、いずれ枯渇してしまうのではないかと考えると、お金を使うことが怖くなってしまいます。
その点、トンチン保険に入って生涯もらえる収入があれば、資産の取り崩しを無くしたり、減らせたりします。
税金の控除が受けられる
トンチン保険は個人型終身保険と同様に、年末調整で給与から控除ができます。
保険料が控除される条件
- 年金受取人が契約者か配偶者
- 年金受取人が被保険者と同一
- 保険料の払込期間が10年以上ある
- 年金受取開始が60歳以降で、かつ受取期間が10年以上
年間の払い込み保険料の半額が控除されます。
所得税の個人年金保険料控除の上限額は4万円で、住民税では上限2万8,000円です。
健康状態の告知が不要
生命保険のように持病があったりすると、保険に入れなかったり、掛け金が高くなることはありません。
理由はトンチン年金の性質を考えれば、不思議なことではありません。
長生きしないと元が取れない保険なので、病気持ちだと不利になるだけだからです。
デメリット・注意点
早死にすると元が取れない
公的年金と同じく、長生きしないと元が取れない制度です。
特にトンチン年金は、死亡時の払戻金が他の終身保険より低いので、その傾向が強くなります。
逆にいえば、長生きすればするほど他の終身保険よりお得な年金です。
トータルいくらもらえるかが不明
確定年金タイプの個人年金保険の場合、支払う保険料に対して将来受け取れる年金額は契約時にわかります。
ですがトンチン年金は、いくら受け取れるのかは何歳まで生きたかで変わります。
民間保険だから手数料が高い
民間のトンチン年金では、一般的に男性だと90歳、女性だと95歳が損益分岐点にされています。
平均寿命より約3年長く生きなければ、元が取れない計算になっています。
ざっくりですが言い換えると3年分の支払額が、保険会社の手数料といえます。
公的年金の場合は平均寿命まで生きれば、十分に元が取れるようになっているので、手数料が高いといえます。
トンチン年金(終身保険)がおすすめかの結論

それではトンチン年金に加入した場合のシミュレーションから、加入したほうが良いのか結論を出していきます。
シミュレーション結果
第一生命のとんちん年金「ながいき物語」をベースに、シミュレーションした結果をご紹介します。
設定は55歳の男性が、15年間毎月54,000円を払い込んで、70歳から年金を受給する設定です。

払込額を受給額が上回るのは89歳になります。
トンチン年金の利回り
トンチン年金がおすすめな制度といえるのか、先ほどのシミュレーション結果から利回りを求めてみます。
計算方法はエクセルの数式「IRR関数」を使用して求めます。
IRR関数とは
- 日本語では、内部収益率、内部利益率などと表現します
- 投資の利回りを簡単に求める関数です
- 投資額と収益、投資期間を表にしてIRR関数を使うと利回りが求まります
実際にIRR関数で求めた利回りは下記の通りです。(一部中略)
とんちん年金「ながいき物語」では、55歳から毎年64万8千円を15年間振込して、70歳から51万円ずつ受給します。

利回りがプラスになるのは、損益分岐点の89歳で0.3%です。
その後、長生きするほどに利回りが上がっていきますが、92歳でもまだ利回りは1%です。
この利回りの低さでは、投資がおすすめとはいえないでしょう。
年金は自分で作るが正解
それでは最後に、おすすめする終身年金の作り方を紹介します。
繰り下げ受給
年金法が法改正されて2022年4月からは、75歳まで繰り下げ受給できるようになります。
75歳から年休を受給する場合、65歳から受給するのに比べて受給額が約80%増えます。
年金を受給するまでの間、繋ぎの資金を用意しておけば老後の不安がグッと解消できることになります。
iDeCoとつみたてNISA
繋ぎの資金を用意する手段としておすすめできるのが、iDeCoとつみたてNISAです。
どちらも非課税で、米国株式や全世界株などの投資信託で運用できる制度です。
現代の超低金利時代だと、銀行に預金していても金利はもらえませんが、成長を続けている国や企業に投資すれば、その恩恵にあずかれます。
ETFに投資する
iDeCoとつみたてNISAを上限額まで設定したら、次におすすめするのがETFです。
ETFも投資信託の一種ですが、投資信託より手数料が低く米国株式や世界株に分散投資ができます。
ただし注意したいのは、投資信託やETFが分散投資していても、すべてリスク資産だという事です。
老後資産に用意するのにリスク資産に集中的に投資すると、暴落に合ったときに生活費に困窮してしまいます。
自分のリスク許容度を十分に考えて、ポートフォリオを組むことが必要です。
最後に
最後にこの記事をまとめます。
- トンチン年金は終身年金の1種で、生涯にわたって収入を確保できます
- トンチン保険のメリットは以下の通りです
①長生きリスクに対応できる
②資産取り崩しのストレスが減る
③税金の控除が受けられる
④健康状態の告知が不要 - トンチン保険のデメリットは以下の通りです
①早死にすると元が取れない
②トータルの受給額が不明
③民間保険だから手数料が高い - トンチン保険の結論は利回りが低くておすすめできないです
- おすすめする終身年金の対策は以下の通りです
①国民年金の繰り下げ受給
②iDeCoとつみたてNISA
③ETF
現役世代のうちはなかなか、老後の資金計画がリアルに考えられないかもしれません。
あるいは漠然とした不安を持っていて、暗いニュースが流れるたびに暗澹としてしまうなんてこともあるかもしれません。
とはいえ今回解説した終身年金対策でわかるように、いかに若いうちから対策を始められるかが、重要なカギとなっています。
その理由は若ければ若いほど、取れるリスクが大きいので株式のような資産に投資がしやすいので、将来のリターンが高くなる可能性があるからです。
年を追うごとにとれるリスクは減少していきます。
このブログでは、さらに詳しい投資に関する知見をこちらの記事でまとめています。
このブログでは節約・副業・投資に関する資産形成に役立つ情報を紹介しています。
一人でも多くの読者の方が、今日から豊かな人生設計を始めるきっかけになればと思っています。
良かったら気になる記事があれば、こちらから是非お読みください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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