2022年の4月から大幅な年金法の改正が行われることはご存じでしょうか?
現役世代のサラリーマンにも影響があることで、上手に改正を活かせば老後の備えができるようになります。
知らないと損をしてしまう制度もあるので、注意が必要です。
プロローグ

年金制度の改正って何か私たちにも関係があるの?

もちろんそうだね。
iDeCoの加入年齢が引き上げられたり、パートの人が厚生年金に入りやすくなったり。

そうなんだ。
まだ先のことのような気がしてたけど、勉強しておいた方が良さそうだね。
この記事の内容を読むとこんなことが分かります。
- 現行の年金制度の基本について解説します
- 年金法の改正の背景、内容、改正時期について解説します
- 年金法改正による影響を解説します
- 年金法改正でサラリーマンが取るべき行動について提案します
著者について
- 本業はサラリーマンで経理業務、副業で投資・資産運用関係の現役WEBライター
- iDeCo、つみたてNISA、ジュニアNISAを毎月上限まで楽天証券で積立しています
- 節約、副業で貯めた資金をコツコツ投資、40歳で資産は4000万円オーバーしました
・この記事を書いている私のプロフィールはこちらです。
- 節約と投資と副業が趣味の40代サラリーマン
- 仕事は原価計算などお金に関する仕事一筋
- 趣味が興じて簿記2級を独学で取得
- 4人家族で生活費は月27万円。資産は4千万
- 35歳でうつ病を経験し、会社に依存しない生き方に挑戦中
年金法の改正でサラリーマンがとるべき対策を4つ解説します

ここではまず現在の年金制度についての確認と、年金法改正の背景などをご説明します。
サラリーマンの年金制度とは
年金法の法改正の内容を説明する前に、簡単に現在の年金制度のおさらいです。
サラリーマンが貰える2つの年金
- 国民年金
- 厚生年金
国民年金とは
自営業者、学生、サラリーマン、公務員、農業従事者あらゆる国民が加入できる年金制度です。
国民年金には第1号から3号まで種類があり、それぞれで保険料が変わります。

現行制度だと60歳から70歳の間で、受給開始年齢を選べますが、選んだ年齢で受給額が変わります。

厚生年金とは
次に厚生年金について説明します。
厚生年金はサラリーマンと公務員が加入できる年金制度です。
保険料は月収の約18.3%になりますが、本人負担はその半分です。(2021年12月現在)
厚生年金に加入者できる条件は以下の通りです。
- 1週間の労働時間が20時間以上
- 1年以上の勤務期間
- 従業員500人以上の企業など
- 月額賃金8.8万円以上
厚生年金の受給額は年収によって異なり、平均的な受給額は以下の通りです。

年金法改正の背景
年金法は社会状況の変化などで、これまでの何回か改正を繰り返してきました。
- 2016年:適応範囲の週労働時間を、30時間から20時間に変更
- 2017年:共済年金(公務員年金)を厚生年金と統一
そして今回の法改正の背景も、これまでと同じく少子高齢化と大きく関係しています。
1990年では65歳以上の高齢者1人を現役世代5.1人で支えていましたが、2030年には高齢者1人を現役世代1.7人で支えることになります。

それに伴って、年金の給付額を合法的に抑えなければいけないので法改正が行われます。
法改正の目的
現役世代が減少すると、当然保険料を納める人数も減少します。
そうなると年金の受給額を大幅に減らさなければ、制度の維持ができなくなるます。
そのために法改正で、保険制度に加入する条件を緩和して新たな加入者を増やそうとしています。
具体的にはこれまで加入者の少なかった、女性や高齢者に適応条件を広げようとしています。
そこで法改正の3つのポイントは以下の通りです。
- 女性の社会進出を後押しする
- 高齢者の雇用延長
- 個人の年金運用を増やす
年金法改正の時期
2021年5月に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」成立しました。
実際の運用は2022年4月に開始されます。
- 2021年5月:年金制度改正法の成立
- 2022年4月:改正法の運用開始
- 2024年10月:2022年の法改正から、さらに企業規模の緩和
年金法改正の4つのポイント

それではこの章で、具体的な法改正の4つのポイントを説明していきます。
受給開始年齢の改正
1つ目の変化点は、年金の受給開始年齢が引き上げられたことです。
これまでは70歳までに年金受給を開始する必要がありましたが、さらに75歳まで引き上げが可能になりました。
受給額は以下の通りで、65歳を基準として75歳から受給開始すると、毎月の受給額は84%上乗せされます。

上記の表だと分かりにくいため、以下のように受給開始年齢による増減率をグラフにしました。
これは65歳を基準として、各年齢ごとにどれだけ受給額が増減するかを示しています。

※厳密には月割で計算します
厚生年金の改正
今回の改訂では、厚生年金に加入できる範囲が緩和されます。
これにより加入者が65万人増えるといわれています。
企業規模の緩和
まず短時間労働者が厚生年金に加入するための、企業規模(従業員数)の条件が緩和されます。
短時間労働者とは、1週間の労働時間が20時間以上の人のことです。

勤務年数の緩和
また短時間労働者の勤務期間制限が撤廃されます。
そうするとフルタイムで働く人と同じく、2か月以上の勤務機関から厚生年金に加入できるようになります。

在職中の年金受給の改正
現行法における年金受給額の矛盾を解消する目的で改正される内容です。
改定内容は2つあって、まず1点目を紹介します。
改定内容①
- 対象者
60~65歳の会社員・公務員
(男性:昭和36年以前生まれ、女性昭和41年以前生まれ) - 改定内容
「特別支給の老齢厚生年金」(※)が減額される基準が月28万円⇒47万円に変更
※ 年金受給年齢が引き上げられたことで、1次的に作られた年金制度
こちらは現役のサラリーマン世代には、直接は関係がありません。
次に2点目の改正内容を説明します。
改定内容②
- 対象者
65~70歳の会社員・公務員
(現役世代にも影響あり) - 改定内容
65歳以降に保険料を納めた場合に、受給額が引き上げられる年齢が70歳から66歳に引き下げられた
イメージで示すと下記の通りです。

改正後は66歳から徐々に受給額を増えるので、70歳までの間の受給額が少しですが増えています。
60歳以降も継続して働きたい人には、多少メリットがある制度改正です。
ちなみに2021年4月から、企業に70歳まで就業機会を与えることが義務化されます。
定年後の労働者を増やして、厚生年金を払える人を増やそうとしていることが分かります。
iDeCoの加入条件の改正
iDeCoは現役世代の間に、毎月コツコツと投資信託などで積立投資をする制度です。
投資で得た利益が非課税になるため、老後資金の運用にお勧めです。
今回の法改正によって、iDeCoの開始可能年齢が60歳から65歳に引き上げになります。
また加入者の条件が緩和されます。
これまで勤務先の企業によって、iDeCoの加入が認められない場合がありましたが、改正によって会社の許可が不要となります。
その他の改正内容も含めて、まとめると以下の通りです。

年金法改正による影響とは
これら4つの法改正で、サラリーマンへの影響をまとめてみます。
- 受給開始年齢の改正 ⇒メリットあり
- 厚生年金の改正 ⇒特に変化なし
- 在職中の年金受給の改正 ⇒ややメリットあり
- iDeCoの加入条件の改正 ⇒メリットあり
具体的にどのようにすれば、メリットを受けられるか次の章で解説します。
年金法改正でサラリーマンが取るべき対策

年金の受給年齢をどうするか判断する
年金の受給年齢が70歳から75歳まで引き上げられたことで、何歳から自分が年金を受け取るか選択肢が増えました。
何歳から受給するのが得かは、もちろん寿命が分からなければ正確な答えは出せません。
そのため例えば寿命が80歳と85歳の2パターンで考えてみます。
60歳から受給したときの総額を1とした場合、65歳・70歳から受給した場合は以下の通りです。

ちなみに寿命が75歳であれば、受給開始年齢が60歳の場合が一番受給額は多くなります。
この結果を見ていえることは、60歳の時点で65歳や70歳までの老後資金が貯めてあれば、受給を先延ばしにするのがおすすめです。
副業収入を作っておく
60歳を過ぎても稼げる力が残っていれば、貯金が無くても受給を遅らせて問題ありません。
例えばクラウドソーシングで、企業から直接仕事を請け負って報酬をもらうなどです。
今の会社でストレスなく働けているなら、雇用延長して残る方法もあります。
生活費をストレスないレベルで下げておく
いざ老後で収入が無くなってから生活費を下げると、ストレスに感じてしまう場合があります。
長年しみついて生活習慣をやめることは難しいからです。
なのでできる限り早いうちに、お金がかからなくてもストレスを感じない生活習慣を作っておく必要があります。
投資で配当収入を作っておく
投資を始めるのにも、ある程度勉強期間が必要なので、退職後にいきなり始めるのは危険です。
現役のうちから、まずは少しずつ始めて損失を経験するのにも、慣れておく必要があります。
そのためにお勧めの方法がつみたてNISAとiDeCoです。
サラリーマンの場合、両方で年間約60万円まで投資できるので上限まで設定しましょう。
そして資産を作っておくと、毎年配当収入がもらえて老後の生活をより豊かにしてくれます。
例えば1,000万円の資産を用意すれば、年間3%利回りで毎月約3万円の収入がプラスできます。
1,000万円の資産を8年で作る方法を紹介しています。
パートで働く妻は厚生年金に入った方が良いか
今回の改定で、企業の規模が小さくても厚生年金に加入できるように変わります。
そのため、これまでパートで働いていた妻でも、月8.8万円以上の収入があれば厚生年金に加入できるようになります。
ただし、そうすると夫の扶養から外れてしまうため、節税ができなくなります。(106万円の壁)
厚生年金に加入できるのと、どちらがお得かという問題があります。
結論をいうと、経済的な面で見ると厚生年金に加入するより、今のまま扶養に入り続ける方がお得です。
理由は以下の通りです。
- 年末調整で節税できなくなる
- 国民年金の保険料がかかるようになる(月額約16,000円)
- 厚生年金は国民年金より戻り率が良くない
最後に
最後にこの記事をまとめます。
- 年金法改正は今後進む少子高齢化に対応するために行われます
- 改正のポイントは厚生年金加入者を拡充です
- 改正の内容は以下の通りです
①受給開始年齢の範囲が70歳から75歳に引き上げられる
②厚生年金は短時間勤務者でも、加入しやすくなる
③在職中から年金受給額の上乗せが始まる
④iDeCoの加入条件が緩和される - 年金法の改正で、サラリーマンにお勧めの対策は以下の通りです
①受給年齢をできるだけ遅らせる
②生活費を下げる、その他の収入源を作る
③つみたてNISA、iDeCoなどで資産形成
今回の改正で、私がとくに注目したいポイントは「受給開始年齢の引き上げ」「iDeCoの加入条件緩和」です。
サラリーマンの老後に直結する内容で、上手に活用すれば将来の不安解消に繋げることができるからです。
今後少子高齢化が進むのは避けられない中で、年金制度の劣化ができる限り起きないように、考えられているように感じます。
これをきっかけに、自分の人生設計を考えてみるのもいいかもしれません。
さらに詳しい資産形成に関する知見をこちらの記事でまとめています。
このブログでは節約・副業・投資に関する資産形成に役立つ情報を紹介しています。
一人でも多くの読者の方が、今日から豊かな人生設計を始めるきっかけになればと思っています。
良かったら気になる記事があれば、こちらから是非お読みください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※関連記事です
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