子供を一人育てるのに3,000万円かかるなんて話をニュースや雑誌で見ると、ぞっとしませんか。
確かに子育てには基本的な生活のための養育費や、学校や習い事に通う教育費など色々とお金がかかります。
ですが不用意に削ると子供の将来の可能性を閉ざしてしまうことがあります。
負担を下げるためには何の出費が不要か考えながら、国の補助などを有効に活用すればずっと費用は抑えることができます。
プロローグ

うちの子も来年からとうとう中学校かー。
高校受験もあっという間だよね。
塾に通わせた方がいいのかな。

そうだね。
大学に行く行かないで将来の収入が大きく違うらしいからね。
でもどうやって塾の費用を確保したらいいんだろう。

子供手当を貯めてる口座があるじゃない。
それを使ったらどう?

あっ、あれね・・
実はちょっと仮想通貨で失敗しちゃってね・・
この記事の内容を読むとこんなことが分かります。
- 子育てにかかる費用の基本的な内容をご紹介します
- 子育て費用の必要性を考える重要なポイントを解説します
- 教育費の必要性を様々なデータをもとに解説します
①私立に通うと学力が上がるわけではない
②塾の費用は必要
③大学は行かないと将来の収入に大きく響く
④理系が得意な子の年収は高い - 養育費の節約方法をご紹介します
- 子育てでもらえる補助金や手当を紹介します
著者について
- 公立学校に通う2人の子を持つ父親です
- 上の子は小6で公文の中3教材まで到達、英検3級に合格できました
- 節約が趣味で、4人家族で生活費は月27万円に到達しました
・この記事を書いている私のプロフィールはこちらです。
- 節約と投資と副業が趣味の40代サラリーマン
- 仕事は原価計算などお金に関する仕事一筋
- 趣味が興じて簿記2級を独学で取得
- 4人家族で生活費は月27万円。資産は4千万
- 35歳でうつ病を経験し、会社に依存しない生き方に挑戦中
子育て費用の不安解消のために必要な費用を把握しよう

子育て費用には住宅購入や、老後の生活費などに匹敵する巨大な費用がかかります。
不安を解決するためにまず、実際にいくらかかるのかを確認していきます。
子育て費用はいくらかかるか
子供を一人育てるのに必要な費用は約2,700万円から4,000万円です。
これだけ金額の上下限に大きな開きがあるのは、一番に国公立の学校に通うか、私立の学校に通うかの違いです。

子育て費用の種類
子育て費用を大きく分けると「教育費」と「養育費」です。
- 教育費:学校で必要な費用、習い事、書籍代など教育に関わる費用
- 養育費:食費、日用品、医療費、被服費、小遣いなどの生活費
教育費
教育費は公立学校に通うか私立学校に通うかで天と地の差があります。

すべて国公立で済ませた場合、総額は約730万円ですが、小学校からすべて私立の場合は約2,050万円になります。
3倍近い費用が掛かることになります。
養育費
養育費にかかる平均的な費用は以下の通りです。

保育園・幼稚園に通ってい時が一番高くて年間約114万円、一番安い時で大学生のときの年間約70万円です。
子育て費用で重要なポイント
子育てにかかる費用を一通り説明をしたところで、あまりに大きな金額で驚くかもしれません。
ですが大切なことは、この費用は約22年間かけて払う費用だということです。
月当たりで平均をすると、現実的に不可能ではない気がすると思います。
すべて国公立の場合の子育て費用
- 未就園児:月額6万7千円(年間約80万円)
- 小学生:月額9万8千円(年間約117万円)
- 中学生:月額12万1千円(年間約145万円)
- 高校生:月額11万9千円(年間約143万円)
- 大学生:月額10万3千円(年間約124万円)
またこの金額はさらに以下の点が含まれているので、実際にはこの額より低くすることができます。
- 子供のための貯金保険月15,000円含まれている
- 今後は保育料の無償化が行われる
とはいってもこの金額を見ても、やはり大きな金額であることは変わりありません。
さらに私立の学校に通った場合は、もっと高額の費用が必要になってきます。
そこで次の章では細かく教育費の節約方法を考えていきます。
子育て費用の不安解決 教育費編

子育て費用の不安を解決するために、まずは教育費の必要性や節約可能な内容を検討していきます。
公立と私立はどちらが良いのか
一番大きな違いがでるのは公立・私立どちらの学校に子供を通わせるかです。
「授業料が高い私立の方が教育レベルが高いはず」と考えて、子供を私立に通わせたいと考える親も多いと思います。
では実際にそうかというと、必ずしもそうではありません。
それを示すデータを紹介します。
2021年8月に公表されたデータで、全国の高校の中で国公立大学への進学率上位10校のうち9校が地方の公立高校でした。
首都圏の私立有名高校の教育水準が高いと考えていると、意外な結果ですよね。

このデータを見ると私立に通わせることが、必ずしもその子の学力を上げるとはいえないことが分かります。
その子の性格など、個性を考えてどちらを選ぶか考える必要があります。
早期英才教育の必要性を考える
早期英才教育については、肯定的・否定的な意見に分かれていると思います。
例えば胎児のうちからクラシックを聴かせて育てるとか、子育てをすると何かと小さいうちからの情操教育の必要性がいわれます。
では実際に、早期英才教育を受けた子供のほうが将来収入が高くなるかというと、そうではありません。
小学校に入る前に英才教育を受けた子供の学力は、小学校入学とともに差が小さくなっていって、やがて優位性がなくなるという研究結果があります。
小さい時はそれよりも非認知能力(我慢する、自立心、協調性など)を育てる教育が大切です。
詳しくはこちらの本に書かれています。
塾や習い事はどこまで必要か
東大生の半数以上の親の年収が950万円を超えているという話を聞いたことはありますか?
それは一つの例ですが、実際に経済的な豊かさは学力にも格差を生んでいることが社会問題になっています。
塾に通った子と通っていない子では、明らかに学力の違いがあります。
こちらは岩波ブックレットの書籍(調査報告「学力低下」の実態)のデータです。

中には塾に通わずに自分で勉強ができる子もいますが、そうでなければ大学進学させたいなら、塾に通う費用は必須といえます。
制服のコストは抑えよう
中学校・高校に進学すると、初年度に高額の制服や体操服などを購入する必要があります。
その費用は公立でも約10万円はします。
例えば一般的な男子生徒の場合に、以下のような費用が掛かります。

制服の値段は少子化の影響もあって、年々値上がりして大きな負担になっています。
中古で安く抑える方法をこちらで紹介しています。
大学まで進学した方が良いのか
4年生の大学まで出た場合、その費用の合計は以下の通りです。(授業料+生活費)
- 国公立:約325万円
- 私立:約457万円
さらに少子化の影響で、授業料は年々値上がりを続けています。

さらに高卒から働けば、4年分の給料が貰えるので始めのうちは高卒で働く方が経済的には有利です。
では高卒のほうがトータルでお得なのかというとそうではありません。
こちらの厚生労働省が発表したデータを見ると、明らかに大卒以上の給料が高くなっています。

大卒と高卒の生涯賃金差は約8千万円あり、例え私立の大学にいった場合でも完全にお釣りが出ます。
ただしどこの大学でも良いわけでは無く、やはり有名大学ほど年収が高い傾向はあります。

理系と文系どちらが良いのか
大学には大きく分けて理系と文系があり、その学費は大きく違います。
大学4年間の教育費
- 私立理系:約400万円
- 私立文系:約540万円
では理系は140万円分の高い給料かというのは、下記の調査結果が参考になります。

左のグラフを見ると、理系学部と文系学部出身者の差は年が上がるほど大きくなっていて、定年間際の60歳のときだけで、140万円の差額を回収できてしまいます。
大学院はメリットがあるのか
次に大学院まで進学した場合のメリットを検証してみます。
大学院の授業料は修理卒の場合、2年合計で下記のようになります。
- 国立大学院(文系):約140万円
- 私立大学院(文系):約210万円
- 私立大学院(理系):約250万円
これらの費用を将来的に回収できるかというと、下記の調査結果が参考になります。
こちらは大学院卒と大卒者の年収を比較したグラフです。(2014年発表)

グラフを見ると大学院卒の年収が大卒を上回っていて、障害賃金を考えると大学院まで出ても十分に元が取れるように見えます。
ですがこのグラフの注意点は、大学院卒の多くが理系で、大卒には文系が多く含まれている点です。
つまり大学院卒の多くが、年収が元から高い理系学部出身者で占められているので、大卒と比べれて自然と年収が高くなります。
メーカー勤務で、大学院卒と大卒が半々の企業に勤めている私の実感では、大学院卒と大卒の年収に大きな差は無いと感じます。
ただし海外で働く場合には、大学院卒業の経歴は給料に反映されてきます。
子育て費用の不安解決 養育費編

教育費に続いて養育費はいくらかかるのか、どれだけ節約できるのか検証していきます。
食費の節約
子供の食費は年齢によって変わります。
子供の食費(年間)
- 小学校入学まで:約18万円
- 小学生:約27万円
- 中学・高校:約35万円
子供の食費は成長に関わる大切な要素のため、無理に節約することはおすすめしません。
食費は無理に削らず、ストレスが溜まらない程度で考えましょう。
被服費の節約
続いて被服費はいくらかかるのかを検証します。
子供の年間被服費
- 小学校入学まで:約7万円
- 小学生:約7万円
- 中学・高校:約7万円
子供の衣類や靴などは、成長に合わせて必要になるため節約が難しいと思われがちです。
ですがメルカリなどのフリマアプリを使って、上手に節約することが可能です。
旅費・レジャー費の節約
続いて旅費・レジャー費はいくらかかるのかを検証します。
子供の年間にかかる旅費・レジャー費
- 小学校入学まで:約10万円
- 小学生:約16万円
- 中学・高校:約15万円
子供の成長を育んだり、家族の大切な思い出を作るために、ある程度の出費は必要だと思います。
ですが同じ行先によっても、お得に旅行にする方法もあります。
こちらの記事で解説をしています。
スマホ代の節約
子供のスマートフォンの所有率は年々上がっています。
それに伴い通信費も増加していて、大きな負担になってきています。
子供の年間にかかる通信費
- 小学生:約5千円
- 中学・高校:約2万円
ではスマホはいつから子供に持たせればいいのでしょうか。
この問題は学業の成績に直結する問題なので、慎重に判断した方が良いです。
こちらは平成25年に発表された仙台市の調査結果です。

携帯・スマホの利用時間が1日に1時間を超えると、勉強時間に関わらず明らかに数学の平均点に影響が出ています。
とはいえ現代の子供たちは中学生にもなると、スマホを持っていない子が珍しいので慎重に考える必要があります。

医療費の節約
子供の医療費については、小学生まで無料や、中学生まで無料など各市町村で違う方針を出しています。
自分の住んでいる地域で、周辺の市町村がどのような制度を取っているか確認をしていみましょう。
特に小さな子供は、体力がまだ無いので通院の機会が多いので、医療費無料の地域に住むのも一つの考え方です。
お小遣いはどうするのが良いか
子供のお小遣いの上げ方は各家庭で様々な方法があると思います。
- お手伝いをしたら上げる
- テストで100点を取ったら上げる
- 毎月決まった額を渡す
- 友達と遊びに行くときにあげる
色々な渡し方がありますが、平均的な金額は以下の通りです。
子供の年間にかかるお小遣い費
- 小学生:約1万円
- 中学・高校:約4万円
あまりにお小遣いが少ないと、周りの友達と同じことができなくて交友関係に支障をきたす場合があります。
上げ過ぎても同じく弊害があるので、平均額程度を上げるのが良いと思います。
ただし上げ方は考える必要があると思います。
労働や勉強などの報酬として渡すほうが、より実社会に近いのでお金に対する考え方が育つと思います。
大学進学で仕送りはいくら
一人暮らしで大学に通う子供への仕送りの平均額は約8万2千円です。(2020年調べ)
大きな金額なので、できるだけ抑える方法を取りたいものです。
- 自宅から通える大学に進学する
- 大学の寮に入る
- 家賃の低い地方の国立大学に進学する
- 奨学金制度を使う
- 子供がアルバイトで稼ぐ
こういったことを考えて、できるだけ抑えられるようにしましょう。
子育て費用の補助や手当で不安対策

ここまでで、子育てで必要な支出と節約方法などを説明してきました。
ここからは子育て費用の支援制度などをご紹介して、不安解消につなげていきたいと思います。
出産手当金と育児休業給付金
出産育児一時金は、出産でかかる費用負担の軽減のための支援金で、金額は一児につき42万円です。
次に、妻が健康組合に加入していて、働いていた場合にもらえる手当を紹介します。
出産手当金は産休期間中で給料が無くなると、休む前の給料のおよそ2/3が支給されます。
育児休業給付金も、育児休暇前の賃金の2/3が約1年間支給される制度です。
保育の無償化
令和元年10月から幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳~5歳の子供の利用料が無償化されました。
今後は月額約3万円の出費がかからなくなります。
子供手当はいくらもらえるのか
子供手当の支給額は、2022年10月支給分から改定されます。
1人あたり月額支給額(現状)
- 3歳未満:15,000円
- 3歳から小学校:10,000円(3人目から15,000円)
- 中学生:10,000円
※所得が960万以上は支給対象外
1人あたり月額支給額(改定後)
- 0~2歳:15,000円
- 3歳~小学校:10,000円(3人目から15,000円)
- 中学生:10,000円
※所得が960万以上、1,200万円以下は一律5,000円
所得が1,200万円以上は支給対象外
所得制限に引っかからなければ、約200万円になります。
せっかくの手当てなので、日々の生活費で消えてしまわないように計画的に養育費や教育費に使いましょう。
就学支援金を利用する
「高等学校等就学支援金制度」は、年収が590万円未満の世帯の生徒を対象にした支援金制度です。
令和2年4月から、支給額の上限が引き上げられています。

年収が590万円以下であれば年間約40万円、年収が910万円以下であれば年間約12万円が支援されます。
学資保険はおすすめしない
子供の将来の教育費を、計画的に貯める方法に「学資保険」があります。
その考え方自体は素晴らしいのですが、私はお勧めしません。
理由は利回りの低さです。
現在のように、低金利の時代では10年積み立てても5%増えて返ってくるレベルです。
それならつみたてNISAに積立投資する方が良いと思います。
理由は利益が非課税で、長期的な値上がりが期待できる株式に投資できるからです。
ジュニアNISAは2023年まで
ジュニアNISAはつみたてNISAと同じく、毎月コツコツと一定額を投資信託などに投資する制度です。
ですが制度自体が2023年で終了となり、その後は投資が出来なくなります。
そうすると現在(2021年12月)、非常に割高な株価が2023年までに下落するリスクもあります。
子供が18歳になるまでは払い出しできないので、すぐに損失は確定されませんが、その点を理解して投資するか決めたほうが良いです。
奨学金を貰う
奨学金は、大学生が無利子から超低金利で教育費を借りられる制度です。
奨学金制度の種類
- 第一種:特に優れた学生で、経済的理由で貸与される(無利子)
- 第二種:一般的な奨学金制度(利子は約0.3%)
第一種と第二種奨学金の、借り入れ上限額は以下の通りです。

奨学金は将来子供が返していく借金なので、利用するかどうかは子供とも相談が必要です。
ですが住宅ローンや車のローンなどより利率が低いので、奨学金をもらってこれらのローンを先に返す方がおすすめです。
教育ローンはおすすめしない
教育ローンは奨学金と同じく、教育費を借りて支払う方法ですが、奨学金とは以下の点が異なります。
- 返済主が保護者
- 金利が高い(約2%)
- 在学中も利息が発生
- 在学中から返済が始まる
もし子供に借金をさせたくないのだとしても、奨学金の返済を親が援助するなどして、極力教育ローンを使わない方が良いです。
最後に
最後にこの記事をまとめます。
- 子育てには一人あたり約2,700万円から4,000万円かかります
- 子育て費用には大きく分けて「教育費」と「養育費」があります
- 教育費の必要性を考えるポイントは以下の通りです
①私立と公立どちらを選ぶか
②英才教育より非認知能力を育てよう
③小学生になったら学習系の習い事を始める
④大学は行った方が良い(理系がおすすめ)
⑤大学院は国内企業なら必要ではない - 養育費を節約するポイントは以下の通りです
①食費は成長のためには無理に節約しない
②被服費はフリマアプリなどで節約できる
③旅費・レジャー費は予約方法や、交通手段など考えると節約が可能
④スマホは学業に大きく影響するので、できるだけ持たない方が良い
⑤医療費無料の地域に住む
⑥お小遣いは周りを見ながら決める
⑦大学は自宅から通えるのがベスト、無理なら地方国立や奨学金を考える - 子育て費用の支援金を活用する
①出産手当金と育児休業給付金をもらう
②保育園の無償化
③子供手当は計画的に使う
④高校生になると就学支援金が貰える
⑤学資保険と教育ローンはお勧めしません
⑥ジュニアNISAよりはつみたてNISAがおすすめです
⑦奨学金は金利が低くてお勧めです
ここまでの内容は経済的な面から見て、何がメリットが大きいのか判断しています。
もちろん子供には一人ひとり得意不得意があったり、将来なりたい職業を早いうちから持っている子もいます。
大学に行かなくても大きな成功を手にしている人は大勢います。
なので子供の意思を尊重しながら、子供が将来後悔しない方向へ導いてあげられるのが良いのではないでしょうか。
さらに詳しい節約に関する知見をこちらの記事でまとめています。
このブログでは節約・副業・投資に関する資産形成に役立つ情報を紹介しています。
一人でも多くの読者の方が、今日から豊かな人生設計を始めるきっかけになればと思っています。
良かったら気になる記事があれば、こちらから是非お読みください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※関連記事です
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