インフレという言葉はニュース番組や経済紙などでよく目にしますよね。
おおまかに「物価の上昇のことだろう」と理解している人が多いと思います。
給料が変わらないのに、インフレが進むと生活が苦しくなるイメージを持っているのではないでしょうか。
そんなリスクに対策できるのがインフレ連動債ETFです。
最近、投資家の間でものすごい人気を集めているETFなので、どのようなものか解説していきます。
プロローグ

2022年の注目はアメリカの金利上昇だね。
株価は大丈夫かな・・

どういうこと?
金利が上がるとどんな影響があるの?

金利を上げると、お金の流れが減るから株価が下がりやすくなるんだ。
そうなると物の価値が上がるから、インフレが進むんだよ。
それを見越してインフレETFって商品が人気になっているみたい。
この記事の内容を読むとこんなことが分かります。
- インフレとは、インフレになる仕組みを説明します
- 今後のインフレ予想について解説します
- インフレETF『TIP』とは何か、なぜ人気なのか説明します
- インフレETF『TIP』とS&P500のチャートを比較しました
- インフレETF『TIP』と類似商品の比較をしました
- インフレ『TIP』は国債と一緒に投資するとリスクヘッジになります
- インフレETF『TIP』に投資するリスクを解説します
著者について
- 株式投資経験は15年以上、個別株・投資信託・ETF・Jリートの取引履歴が多数あります
- 節約、副業で貯めた資金をコツコツ投資、40歳で資産は4000万円オーバーしました
・この記事を書いている私のプロフィールはこちらです。
- 節約と投資と副業が趣味の40代サラリーマン
- 仕事は原価計算などお金に関する仕事一筋
- 趣味が興じて簿記2級を独学で取得
- 4人家族で生活費は月27万円。資産は4千万
- 35歳でうつ病を経験し、会社に依存しない生き方に挑戦中
インフレETF『TIP』とは。おすすめの理由をブログで比較・解説

インフレETFを理解するためにまずはインフレの基本知識などを説明していきます。
インフレとデフレとは
インフレETFを理解するために、まずインフレとデフレの意味を確認します。
- インフレ:物価が継続的に上昇する状況
- デフレ:物価が継続的に下落する状況

インフレ・デフレは物価の問題だけでなく、社会的な現象を引き起こします。
デフレは不景気になると発生します。
給料が伸び悩み、個人消費や企業の売り上げが低迷する悪循環が繰り返されます。
続いてインフレは好景気で起きます。
給料が上がって、個人消費が伸びて需要が拡大します。
そうなると供給不足で物の値段が上がりますが、行き過ぎると庶民が生活必需品を変えなくなる問題が起きます。
インフレ連動債ETF『TIP』とは
米国のインフレ率を示す指標「消費者物価指数(CPI)」に連動するETFがインフレ連動債ETF『TIP』です。
CPIの推移を下記に示します。

CPIは2020年に一旦0%付近まで下がってから、2021年には6%以上に急上昇しています。
その背景には、半導体の生産が追い付かないことや、配送運転手が不足しているなど社会的な背景があるので、すぐに解決にハムわないと考えられています。
インフレ連動債ETF『TIP』が人気になっている理由
債券投資家の中でリバランスが起きている
米国の利上げが2020年から続いています。
それにより現在出回っている低い利回りの債権は売られて価格が下がり、、債券投資家の収益を圧迫しています。

そのため債券投資家の中で、同じ債権ETFの中でもパフォーマンスが良いインフレ連動債ETFへの資金の流入が起きているのです。
具体的にはインフレ連動債『TIP』に、1日(2021/7/23)で約14億ドルの資金が流入した一方、「iシェアーズ米国債ETF」からは過去最も多い13億ドルが流出しています。
インフレが長期化すると予想されている
アメリカのCPIが上昇が起きていることを背景に、インフレETFには資金の流入が進んでいます。

その理由には「現在進んでいるインフレが今後も続くと、個人投資家が不安を感じている背景がある」とブラックロック・ジャパンの越前谷道平ETF事業部長が話しています。
S&P500が暴落したときの備え
続いて米国株式指数の代表S&P500と価格チャートの比較を説明します。
比較期間は2020年10月から1年間です。

この1年間S&P500は史上最高値を更新し続ける堅調な値動きで、1年間で約1.4倍以上に値上がりをしています。
それに対してインフレ連動債ETF「TIPS」はほぼ横ばいでした。
この結果を見ると、S&P500だけに集中投資している方が、リターンが大きいですが、今後も同じように値上がりが続くとは限りません。
そしてもし株価の暴落が起きた際に、債券をポートフォリオに入れておけばダメージを少なくすることができます。
インフレ連動債ETF『TIP』とは

それではインフレ連動債ETF「TIP」の詳しい情報を解説していきます。
インフレ連動債ETF『TIP』の比較の基本情報
TIPは「Treasury Inflation Protected Security」の頭文字をとったものです。
TIPの元本はCPI指数の上下に連動するように調整されていて、CPIが上昇したときは元本の価値が上昇して利回りが高まります。
そして実際のインフレ度合いよりも、インフレの期待の変化に敏感に反応します。
基本的な情報は下記の通りです。

インフレ連動債ETF『TIP』と国債と金利の関係
同じ代表的な債券に国債や社債がありますが、これらは通常金利が上昇すると価値が下がります。
理由はもっと良い利回りで新しい債券が売られるようになるので、今までの債券の価値が下がるの絵す。
その他に金利が上昇すると物価は下がります。
銀行からお金を借りる人が減って、需要が下がるためです。
ただしそこにはタイムラグがあるので、周期がずれます。
これを簡単にイメージ図にするとこのようなグラフになります。

つまり「債券」と「物価(インフレETF)」に別々に投資をしていると、リスクを下げることができるということです。
インフレ連動債ETF『TIP』の構成銘柄
TIPの構成銘柄を確認します。

「Treasury Notes」とは証券用語で、米国政府が発行する償還期限が2年以上10年以下の利付債の総称です。
インフレ連動債ETF『TIP』の格付け
TIPの構成銘柄の格付けを確認します。

国債の次に格付けの高い「AAA」でほぼ100%構成されています。
インフレ連動債ETF『TIP』の利回り
TIPSの過去10年までの年利を確認します。

外貨ベースでは約3~8%、円貨ベースだと6~16%になっています。
インフレ連動債ETF『TIP』の分配金
TIPの過去5年間の分配金をまとめました。

分配利回りは直近12か月で3.66%になっています。。(2021/11/23現在)
インフレ連動債ETF『TIP』のチャート
現在のチャートは以下の通りです。
インフレ連動債ETF「TIP」と類似資産の比較

インフレ連動債ETF『TIP』との比較
同じインフレ連動債にはステートストリート社の「SPIP」と「SCHP」があります。
それぞれの基本情報をいかにまとめました。

いずれも運営方針はCPIとの連動ですので、トータルリターンに大きな違いはありません。
あとは長い実績と資産額を持つTIPか、経理率がもっとも低いSCHPを選ぶのが良いと思います。
インフレ連動債『TIP』と米国債の比較
前章で少し触れた国債と併用してリスクヘッジできるという内容を、具体的に解説します。
下記のチャート(2019年4月~2021年10月)で国債(水色)とインフレ連動債(青)でトレンドに相違がみられます。

2019年からの利回りは最終的に変わりませんが、両方に投資をしていれば、どちらかの債権が値下がりしたときの損失額が小さくなります。
精神的には安定した運用が可能です。
債券投資を考えるのなら、おすすめの方法といえるかもしれません。
インフレ連動債「TIP」に投資するリスク

それでは最後にインフレ連動債に投資するリスクを確認します。
金利の上昇が進んでインフレが収まる
現在アメリカでは長く続いた金融緩和を終了させて、金利をどのように上げていくか議論されています。
金利が上がるとお金の供給量が減るため、需要が落ち着いてインフレが収まります。
そうなるとインフレ連動債の価格が低下します。
商品在庫や物流遅延の問題が解決する
現在起きているインフレの原因の一つである、商品の品薄状態が解決されるとインフレが解消されていきます。
いますぐ解決する見通しはありませんが、問題が解決されるとインフレ連動債の価格が下がります。
株価上昇の恩恵を受けられなくなる
債権をポートフォリオに入れることで、株価がおおきく上昇したときに得られる収益が減少します。
2021年で見ると債券はほぼ横ばいで、株価は40%近く上昇しています。
ですが株価がいつまでも上がり続けるわけでは無く、過去の実績から見るとすでに買われ過ぎです。
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最後に
最後にこの記事をまとめます。
- インフレ連動債は米国物価指数CPIに連動しています
- 米国では商品の品薄状態が続いてインフレが進んでいます
- インフレ連動債と国債ETFと一緒に持つことで、債券同士でもリスクヘッジができます
- インフレ連動債「TIP」の特徴は以下の通りです
①格付け「AAA」ですべて構成された、信頼性の高い債券です
②直近1年間の利回りは6.7%です
③同じインフレ連動債の中では実績と、資産額が最も大きいですが、経費率は高いです - インフレ連動債に投資するリスクは以下の通りです
①金利の上昇が進んでインフレが収まる
②商品在庫が戻ってインフレが収まる
③株価上昇の恩恵を受けられなくなる
「株価がこれだけ順調なのに債券に投資する意味がある?」と疑問に感じる人もいるかもしれません。
たしかに2021年までのように株かが順調なら、債券をポートフォリオに入れると全体の利回りが落ちてしまいます。
しかし株価の暴落は過去の長い歴史の中で10年から20年ごとに発生していて、債券をポートフォリオに入れるとダメージを抑えられることが分かっています。
年齢的に今から暴落に合うのはきつい、すでに株価が上がり過ぎているなど、株式投資に集中させるのが怖いのなら、債券投資を考えてみるといいかもしれません。
さらに詳しい投資に関する知見をこちらの記事でまとめています。
このブログでは節約・副業・投資に関する資産形成に役立つ情報を紹介しています。
一人でも多くの読者の方が、今日から豊かな人生設計を始めるきっかけになればと思っています。
良かったら気になる記事があれば、こちらから是非お読みください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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